芝川ビルのデザイン・ソース
2007年06月12日 [建物について]
芝川ビルは、豊かな装飾に覆われた建物ですが、そのデザインはとても独特です。特に、1階103号室などは息を呑む濃密さで、これまでご覧になった多くの人々を絶句させてきました。しかしながら、実は、この装飾の様式について、あまりよくわかっていないところも多いのです。
芝川ビルの建築様式について、芝川ビルの施主・芝川又四郎の回顧談「小さな歩み」には、「私の趣味から、古代メキシコ、マヤ族の装飾を加味した近代式の鉄筋コンクリートづくりで、・・・」と記されています。
一方、芝川ビル竣工の翌年、1928(昭和3)年1月の『建築と社会』には、「様式は大體に於て近世式なれど装飾的細部には古代の中米に怪奇な輝を見せてゐたマヤ及インカの藝術から暗示されたものを加へた」とあります。
また、米国の建築家、F.L.ライトの影響を指摘する声もあります。ライトも中南米の古代建築に感化され、自身の設計に活かしたと言われています。*
このように、古代中南米、マヤ・インカ式などとして紹介される芝川ビルの装飾。なんとなくわかるような気もするのですが、古代中南米、マヤ・インカについて、具体的なイメージはなかなか湧きません。
そこで、懐かしの高校教科書、山川出版社「詳細世界史 改訂版」を紐解いてみました。それによると、4~10世紀初頭に中央アメリカのユカタン半島やグアテマラに形成されたのが「マヤ文明」、15世紀後半にエクアドルからチリに及んで成立したのが「インカ帝国」とのこと。
マヤとインカでは、時代も場所も異なることがわかりましたが、「それでは結局、マヤなの?インカなの?」と聞かれると返答に窮してしまいます。
そんな折も折、NHKスペシャルで「失われた文明 インカ・マヤ・アステカ」(4夜連続)が放送されています。写真や詳しい地図や年表が掲載されている番組ホームページも大変お勧めです。
また、今夏から秋にかけては、展覧会「失われた文明 インカ・マヤ・アステカ」も開催されます。(2007.07.14~09.24 国立科学博物館(東京):2007.10.03~12.24 神戸市立博物館)
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こういった番組や展覧会を通して、古代中南米の文明に触れることで、芝川ビルの様式の謎に迫る、新たなヒントを見つけられるかも知れませんね。
興味のある方は是非ご覧ください。
*)芝川ビルの意匠の中南米建築やF.L.ライトからの影響については、大阪歴史博物館学芸員の酒井一光さんが雑誌『大阪人』2006年11月号(pp.74-76)で、芝川ビルの意匠設計者・本間乙彦に着目して、詳しく書いておられます。
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